グライム

グライムはほとんど目立たない存在だ。我々がこれまで出会ってきた魔導師たちは皆、なんだかんだ群衆の中でも目立っていた。我々であれ彼らであれ、待ち合わせなんかをするといつも、明らかに魔導師というオーラが漂っている者ばかりだったのですぐに分かる。だが、グライムの場合、群衆からさっと控えめに抜け出し、ものの数秒で我々の前に姿を現す男で、しかもそれが我々の待ち合わせ相手であるということに気がつくのさえ、すぐに分からないくらい目立たない男だ。騒々しさを一切排除した彼の身なりは、かなり長い間この世を見続けてきたかのようである。


あなたは「マヌーバ」と呼ばれる魔術バトルのマスターですよね。「マヌーバ」とは具体的にはどういったものなのですか?

グライム: 通常の戦士と魔術バトルを支配する魔導師との違いとは、バケツで作った浜辺の砂の城と頂銃眼や砲塔のある要塞との違いに似ている。ハンマーや刀剣なんかを適当に振り回して、たまたま運よく相手に当てるなんていうのはバカでもできる。長期間のトレーニングを積んでいる場合もあるが、どっちにしろそこは関係ない。それに対しバトル魔導師は魔術を使い、自然の原理に逆らって武器を操り相手を攻撃する。魔術で敵とポルカを踊ることだってできる。要は、マヌーバとは、魔導師が魔術を用いて冷徹なただの武器をコントロールする戦術だ。


なんだかバトル魔導師って多才なアーティストって感じですね。

グライム: そうか?(微笑)いいこと言うな。


具体的にどんなものか教えてくれますか?

グライム: いいか、刀剣は普通、目の前に立っている敵を斬るためだけに使う。言うなればこれは剣術の基本理論だ。それに対して、刀剣を前方へ投げて敵を斬り、そのまま自分の手元に戻ってくるようにさせるのが戦術だ。


それ、どんな武器でもできるんですか?

グライム: いや。武器にはそれぞれ異なる戦術が秘められている。今のは刀剣で出来うる戦術の一例だ。だが、例えば槍なんかだと、長さを2倍以上にも伸ばせるという別の戦術がある。また、飛び道具は一度に複数発射できるし、敵が一列に並んでいなくても、魔術を使って一つの弓で複数の敵を打つことができる。さらに戦術を組み合わせることで相乗効果も期待できる。通常は防御のために使われる盾で、敵を押し返すことだってできるんだ。もちろんダメージも与えてな。槍と盾を持ったバトル魔導師と戦うことになった敵は、自分に攻撃するチャンスが来ることもなく、すぐに負けると分かるってことさ。


そんな風に全員が戦えたらいいですね。もしそうなったら、誰も汗水流してトレーニングに精を出したりしないですよね。

グライム: まぁな(笑)確かに魅力的かもしれんが、戦術が魔術、しかもかなり難易度の高い魔術だということは覚えておけ。戦術を操るには、魔術のエネルギーが必要だ。それはあらゆるタイプの武器が基本的な攻撃力をもつのにも必要なエネルギーだ。この攻撃力自体は弱いが、エネルギーは消費しない。それに、こういうもんはお前の魔力が尽きて難を逃れる時に便利になる。


なんとなく戦術っていうものが分かってきたような気がします。最後にあなたのことを教えてください。いつこの仲間に加わったのですか?

グライム: (ここで、我々はこのインタビューが急に終わったのだということに気がついた。グライムはいなくなっていたのだ。近くでは、男が群衆の中で落ち葉を掃いていた。そして我々をここに連れてきた船からは、出航の合図の鐘が鳴っていた。)


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